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第一章 二匹の蛇神 

注:ここから先はこちらで勝手に想像で作った非公式の続編です。

時は、サムソンが姫を連れて城に戻ってくる数時間前に遡る。(魔法使いがどうやって王様の前まで来れたのかは、気にしないでね。)

魔法使い「王よ、まもなくサムソンの奴が姫を連れてここに現れますぞ」
王様「おお!姫は無事か。それは良かった」
魔法使い「それがあまり良くないのでございます」
王様「なに?それはどういう事だ」
魔法使い「実はサムソンの奴、アスピックに体を乗っ取られつつあるのです。アスピックは殺されても魂は死なず、殺した者に魂を乗り移るのでございます」
王様「なんと。ではさっそくサムソン討伐に兵を向かわせる事にしよう」
魔法使い「なりませんぞ、王様。もし今のサムソンを殺したり、死刑にでもしてみなさい。今度は首を取ったその者がアスピックになってしまいますぞ」
王様「では、どうすれば良いのだ」
魔法使い「何もしない事です。サムソンには一切危害を加えず、城から追い出す事です。さすれば、サムソンは勝手に魔界で自滅するでしょう。」
王様「そうか、わかった。だが姫を取り戻すまではこのことは誰にも言うでないぞ」

そして数時間後、サムソンは姫を連れて城に戻ってきた。
サムソンと2人の剣士は、大勢の兵士達から祝福を受けた。そして、サムソンは姫をつれて王様の前にやってきた。

サムソン「王よ、姫様を無事連れ戻してきました」
姫「お父様、このサムソンさんが助けてくれたのですよ」
王様「おお、姫よ、よくぞ無事で戻ってきた。よくやったぞサムソン。だが姫は疲れていよう。今夜は城でゆっくり休ませる事にしよう。さあ、姫よ、こちらへ」
姫「はい、お父様」

その夜、城では歓迎式典が開かれようとしてた。だが、兵士の様子はおかしかった。
兵士「ささ、サムソンさま、こちらへ。サムソン様は離れに部屋を用意しております。剣士殿は衛兵たちが是非、姫救出の様子を聞きたいといっております。」
剣士A「おお!よっしゃ、それじゃ俺様の活躍をみんなに聞かせてやろうじゃないか」
剣士B「よく言うよ、ピンチになるとサムソン師匠に交代してもらってたくせに」

こうして二人の剣士たちは衛兵の控室に向かっていった。サムソンは城の門の外まで兵士に案内された。
兵士「では次女が迎えにきますので、こちらで少しお待ちくださいませ」
といって兵士は城の中に入っていった。

だが、5分が経ち、10分が経ち・・・1時間、2時間・・・迎えはいっこうに現れない。
サムソン「おい、どうなってるんだ。誰も来やしないぞ」
しかし、城の門は固く閉ざされており、サムソンは中に入る事もできなかった。
サムソン「一体どうなってるんだ」

その時、城の周囲には別の剣士が通りかかった。
サムソン「おい、この城の兵士を見なかったか?さっきからずっとここで待たされたまま誰も来ないんだが・・・」
だが、剣士は怯え目でサムソンを見てこう言った。
「お前は悪魔だ」
剣士は走って逃げていった。

サムソンはひとまず寺院に向かったが、寺院で僧侶達は口々にこう言った。
「魔界に帰れ」
何がどうなっているかわからないサムソンに、心の中でもう1つの「何か」がサムソンに話しかけてきた。
「魔界に向かえ。そしてミノタウルスに会うのだ」
心の声にしたがって、サムソンは魔界へと向かっていった。

その頃城の中では・・・
剣士A「というわけだ。オレがドラゴンをばったばったとなぎ倒して、最後にサムソン師匠がアスピックの奴にとどめをさしたってわけよ」
剣士B「そういや、サムソン師匠はどこに言ったんだろう?もうすぐ歓迎会が始まるというのに」
衛兵「良いな、もう二度とそのものの事を口にしてはいかんぞ」
剣士A「なんだとコラッ!どういう事だ」
衛兵「どういう事もない。奴は反逆者だ。反逆者としてこの国を追放されたのだ」
剣士A[なんだって!?」

気がつくと、衛兵達は皆武器を持って戦闘態勢に入っていた。
剣士A「どうなってるんだ」
衛兵「お前が知る必要のない事だ。これ以上詮索するなら、お前達を投獄する」
剣士A「ほほう、やれるものならやってみればいい」
兵士たちは剣士Aに襲いかかってきた。しかし多勢に無勢で勝負にならない。その時、突然場内に煙が立ち込めた。

兵士「ゴホゴホ・・・なんだこの煙は」
剣士B「岡崎、今のうちに、こっちだ」
剣士Aは、剣士の声を頼りに城を脱出した。

剣士A「何がどうなっているんだか、さっぱりわからねえ」
剣士B「さっき兵士達が話をしているのを聞いたんだ。どうやらサムソン師匠の体にはアスピックの魂が宿っているらしい」
剣士A「そうか、それで奴ら・・」
剣士B「ああ、サムソン師匠をお尋ね者にしてこの国から追放したようだ」
剣士A「なんて事だ。俺たちは命がけで姫様を救出したというのに」

やがて、スケルトンとミノタウルスを引き連れて城に戻ってきたサムソン。だが、二人の剣士は黙ってそれを見ている他なかった。
剣士A「ちくしょう、どうにかならんのか淳基」
剣士B「今下手に師匠を止めたところで、今度は俺たちがアスピックになっちまう。今は待つのだ。そして、なんとか呪いを解く方法を見つけるしかあるまい」

そしてサムソンは姫を連れて魔界に帰っていき、サムソンはそこで完全に体をアスピックに乗っ取られてしまった。

それから数日後、城では新たな王からのおふれが出された。魔界にいる姫を救出した者には姫との結婚を約束する。ただし、魔界に住むアスピックだけは決して倒してはならない。アスピックの隙をついて姫だけを救出せよと。

剣士A「どうやら、先代の王の弟が王になったようだな」
剣士B「ああ、先代の王には姫が一人いるだけだったからな。」
剣士A「で、どうする。姫を救出に行くか?」
剣士B「冗談。もうあの一族にふりまわされるのはまっぴらだ。あんな姫こっちから願い下げだぜ。それよりも、どうにかサムソン師匠の呪いを解く方法を見つけなければ」
剣士A「そうだな。サムソン師匠の無念を晴らす事ができるのは俺たちだけだ」
剣士B「だがどうする。下手に師匠を倒したところで、今度はこっちが呪われちまうぞ」
剣士A「さすがに、こればかりはどうしようもないか・・・」

??「いよう、お二人さん。お困りのようだね」
二人が振り向くと、そこには商人の姿が。
剣士A「はいはい、用なし、用なし」
商人「おいおい、人を果物みたいに言うのはやめておくれ。それよりか、今の話だが、実はワシが前にこんな噂を耳にした事がある。あれは確か、はるか東の国に行商に出ていた頃の話だ。

かつて天界には、ヒュドラとラードーンという2匹の蛇神がいた。しかし、2匹はいつも争いを続け、天界の神々達は非常に困っていた。そしてついに2匹は神の怒りを買い、彫像のように固められて動けなくされ、地上に捨てられた。身動き一つできなくなった2匹は、地上で延々とその場でじっとしているより他になかった。

ある日、洞窟の奥底で2匹を見つけた商人は、黄金のヘビの彫像と思い、それを高値で金持ちに売りつけた。買った金持ちはしばらく家に飾っていたが、やがて不注意から一体の彫像を落としてしまう。彫像は割れ、中からヒュドラの魂が出て、その金持ちに乗り移った。そいつは身も心もヒュドラに乗っ取られ、魔界の王として君臨した。

という話だ。」

剣士A「すると、アスピックとはそのヒュドラが人間の体を乗っ取った姿と・・・」
商人「まあ、間違いあるまい」
剣士B「ちょっとまってくれよ。それじゃもう一体はどうなったんだ?ラードーンの彫像がまだ残っているはずだろう。」
商人「ラードーンは回復能力にすぐれた蛇神だった。彫像になってもその能力の一部を使う事ができる。魔法力を持つものが尾の先より魔法力を注ぎ込む事で、口から回復のパワーを放出すると言われている」
剣士A「おい、それって、もしかして・・・」
商人「そうじゃ。それは現代では黄金のまむしと呼ばれているのじゃ」
剣士A「しかし、黄金のまむしは、たしか師匠が王に没収されてしまったはず」
商人「それと、もう1つ、抜け殻ではあるがヒュドラの入っていた彫像、これは現在では黄金の毒蛇と呼ばれている。もっとも、抜け殻となった今では観賞用として使われておるがね。だが、これこそがヒュドラの奴を封印できる唯一の器なのじゃ。」

剣士A「それは・・・。しまった、売ってしまった、あんたに。それは今どうしてる」
商人「それは、これの事かな?」
剣士A「それだ。それを売ってくれ。」
商人「だが、今のお前さん達には買い戻すだけの金はあるまい。それに、おたずね者となったあんたらには、商売をやって稼ぐ事もできないはず。」
剣士A「どうすれば、それを譲ってくれる?」
商人「そうじゃの。1つ条件がある。サムソンの持っていた、アメンボウの足、のぼるブーツ、鯨の噴水、そして3本の鍵、それをワシの所に持ってこい。あれはかなり高く売れるのでな。」

かくして剣士A、剣士Bはどうにかして城に潜入して、サムソンの持っていたアイテムを奪還する事になった。
剣士A「だが、どうする。今や城は厳重に警備されていて、前のように簡単に出入りできそうもないぞ。まして、俺らのようなお尋ね者にとってはな」
剣士B「まて、オレにいい考えがある」

門番「なに?姫を取り戻してきた?」
剣士B「ああ、そうだ。王様に会わせてもらおうか」
門番「いいだろう。だが、その前に姫の顔をよく見せてくれ」
剣士B「いや、姫さんはかなり疲れておいでだ。今は顔を見られたくないと言っている。」
門番「信用できないな。ちょっと指示を仰ぐから、少しここで待ってろ」

剣士B「よし、門番がいなくなったぞ。チャンスだ。もう出ていいぞ」
剣士A「あのなぁ、なんでオレが姫の役なんだよ。普通、発案者のお前が姫になるべきだろ」
剣士B「まあ、オレみたいな豪傑がお姫様じゃちと無理があるからな。お前みたいな猫背がちょうどいい」
剣士A「誰が猫背だ、誰が」
剣士B「おっと、あんまりおしゃべりしている余裕はなさそうだぜ。さっさと中に入ろう」

こうして城に潜入した2人。はたして、サムソンの残したアイテムを無事奪還できるのだろうか?

第一章 アイテムを奪還せよ 

門番「あの、外に姫を奪還してきたと言ってきた者がおるのですが」
兵士「なに?姫は本当にいるのか?確認したのか?」
門番「それが、姫をよく見せてくれないのです」
兵士「ああ、追い返せ追い返せ。どうせ賞金狙いの偽物だろう。最近そういうのがよく来るんだ」
門番「わかりました」

門番「おい、やっぱり姫をちゃんと確認できないとダメだって言ってるぞ・・・ってあれ?」
そこに2人の姿はなかった。
門番「あきらめたか。ま、いいか」

その頃城の中
剣士A「で、これからどうするよ。師匠のアイテムはどこにある」
剣士B「あの時、たしか師匠は、歓迎会の準備ができたとか言われて、荷物を兵士の控室に全て置いたまま外に出されたんだよな。どうせあのバカ王に師匠のアイテムの価値なんかわかりゃしないだろうから、おそらく今も兵士の控室に置いたままのはず」
剣士A「じゃあ、さっそく控室に行ってみるか」

兵士控室
剣士A「お、さいわい誰もいないぞ。師匠の荷物はどこだ」
剣士B「たしか、師匠の荷物はこのあたりに・・」
と、その時、奥から一人の兵士が出てきて・・・
兵士「何だお前らは・・・・あー、お前たちは、たしかウソくさい武勇伝をドヤ顔で語ってた反逆者の仲間じゃねーか。そこで何をしている。」
剣士A「ウソくさいとはなんだ。」
兵士「侵入者だ。取り押さえろ」
大勢の兵士が入ってきた。
剣士A「くそ、これじゃ多勢に無勢で相手にならん」
剣士たちは取り押さえられてしまった。そこに声がした。
王様「何の騒ぎだ」
兵士「こやつら、あの反逆者の仲間にございます」
王様「お前たちか。兄を殺した挙げ句、姪を拉致して魔界に連れ去った反逆者の仲間というのは」
剣士A「あんたが、あの命がけで真実の書を持ってきた師匠に、もう他に頼んじゃったよバカヤローなどと暴言を吐いた挙げ句、命がけで姫を救出した師匠を反逆者よばわりして身ぐるみはいで城から追放したバカ王の弟か」
兵士「こいつ、言わせておけば・・・」
王様「まあよい。それより、お主らは何しにここにきた?」
剣士A「見ればわかんだろ。あんたの兄が横暴にも没収した師匠の荷物を取り戻しに来たんだよ」
王様「それは、もしかしてこれのことか?」
王様が持っていたのは、サムソンのアイテム袋だった。
剣士A「それだ。返せこの野郎」
王様「返しても良いが、条件がある」
剣士A「何だ」
王様「姫を連れ戻して来るのだ。ただし、アスピックの奴は殺すでないぞ。もしアスピックを殺して戻ってきたら、奴と同様またお前らも身ぐるみはいで国から追放するからな。それと、お前たちが逃げないように期限を設定させてもらう。一週間待ってやる。一週間経っても姫が戻らぬ時は、お前たちも反逆者とみなし、牢獄に入れるからな」

こうして2人の剣士は、サムソンのアイテムを引き換えに、一週間以内の姫の奪還を約束されてしまった。
兵士「王様、これでよろしかったのでしょうか?」
王様「ま、奴らにはこれぐらいしか償えんだろう」
兵士「は?」
王様「たしかに、先程奴らに言われた通り、兄のした事は王として許されん事だからな。民や兵士の間にも、さすがにこれはひどいんじゃないかという声が出ているのも事実だ」
兵士「ですが、それも国を守るためにしたことですし」
王様「あとは、奴らがどうするか。無事姫だけを連れ戻してくるか、サムソンと同じ運命をたどるか・・・」

そして2人は商店に来た。
剣士A「おい、約束通り師匠のアイテムを持ってきてやったぞ。黄金のまむしは渡せないが、それ以外は全部くれてやる。だから、黄金の毒蛇を渡してもらおうか」
しかし、商人の部屋に入った2人が見た光景は、商人が何者かに殺されている所だった。
剣士A「おい、どうした、しっかりしろ」
剣士B「だめだ。もう死んでいる。部屋も荒らされてるな。こりゃ、黄金の毒蛇ももうここにはあるまい」
しかし、床には血文字で記号が残されていた。

  X
X   X
  X

剣士A「これはダイイングメッセージのようだが、何を意味するんだろう?」
剣士B「おい、これどっかで見た事ないか?」
剣士A「言われてみれば・・・。どこだっけ?」

第三章 オリジナル黄金の毒蛇

剣士A「そうだ、思い出した。魔界の塔だよ。塔の地下1階・・・」
剣士B「そうだ。あの中心からジャンプして上に上がったんだよ。で、これがどういう意味なんだ?」
剣士A「バカ、わからねーのか。ここに黄金の毒蛇が隠されているって事だろ」
剣士B「だが、師匠なしでどうやって魔界に行く。俺たちだけでは体力の回復もできないんだぞ」
剣士A「チッキショー、俺達にMPさえあれば・・・・」
剣士A・B「そうだ!」

2人の剣士はまずは海の世界で宝物を集める事にした。宝物は人間の世界を歩いている適当な商人や旅人に売って、寺院で体力の回復とMPを与えてもらった。

翌日

剣士A「まる1日かけて、2人でMP50ずつか。まあ、師匠のようにモンスターからMPを奪う能力のない俺らにはこの辺が限界だろう。で、この黄金のまむしってどうやって使うよ」
剣士B「それじゃまず、黄金のまむしを使うお前が彫像の尾を掴む。そして手からMPを放出する。自分に向けても回復パワーは放出されない。このアイテムはあくまで自分以外しか回復できない」
剣士A「これでいいか」
剣士B「よし、これでオレのHPは回復した。じゃあ、魔界に向かうか」
剣士A「ちょっと待て。なんでいつもオレばっかり戦わせておいてお前だけ回復するんだ」

そして2人は暗闇の洞窟を抜けて魔界へ。もうアスピックの塔に直通のワープゾーンは消滅しているようだ。
ミノの塔B1F

剣士A「ああ、ここだ。だが、ここは前にも何度も通ったが宝箱などどこにもないぞ」
剣士B「いや、ちょっと待て」
その時、黄金のまむしが輝き出した。
剣士A「黄金のまむしがこの場所を示している。」
剣士B「どうやら師匠はこの場所で黄金のまむしが何かを訴えていた事に気が付かなかったようだな」
黄金のまむしが示す場所を掘り返して見ると、そこには2つに割れた彫像が出てきた。
剣士A「これが黄金の毒蛇か。俺たちが上の階で発見したものはレプリカだったって事か」
剣士B「そのようだな。さあ、こんな場所に長居は無用だ。さっさと引き上げようぜ」

??「そんな所に隠してあったとはな」
剣士A「貴様は・・・」
そこにいたのは、あの魔法使いだった。

魔法使い「ワシはずっとアスピックを封印する彫像を探していてのう。あの商人の奴が持っていたのは全て偽物だった。まさか貴様たちが見つけてくれるとは。」
剣士A「すると、商人を殺したのはお前か」
魔法使い「奴は本物の彫像の場所の場所を最後までしゃべらんかったのでな。この像はサムソンの前にアスピックに挑んだ勇者が隠したものだろう。もっとも、奴はサムソンに倒されてしまったがな。自分に万一の事があるといけないので、商人にだけは本物の彫像の場所を話していたのだろう。次にアスピックを封印できる奴が現れた時のためにな」
剣士A「じゃあ、なぜその勇者はこの彫像を使わなかった」
魔法使い「見ての通り、この彫像は2つに割れてしまっている。このままではヒュドラの魂は封印できん。どうにかして修復せねばなるまい。結果的に、自分の恋人を守るためにアスピックに挑んで自分がアスピックに呪われる道を選んだわけだが」
剣士A「前にも同じような事があったのか。アスピックはなぜ女性をさらう。まさか本当に人間の女性と結婚できるわけではあるまい」
魔法使い「蛇神であるヒュドラの魂は、このままでは人間に殺されてもずぐに体を奪って永遠に生きながらえてしまう。アスピックに呪われた時点で不老不死になってしまうから、寿命で死ぬ事もない。だが、寿命で死ぬ可能性があるとすればどうする。」
剣士A「どういう事だ」
魔法使い「奴は人間に転生を試みていたのじゃ。そのための方法が真実の書に記されていた。ヒュドラの魂と波長の合う人間の女性、その卵子に乗り移って人間として生まれる事で、普通に人間としての生涯を全うして、そして寿命で死ねるというわけだ。だが、普通の卵子ではアスピックが乗り移る事はできん。そこで、手下のリザードマンに命じて、ヒュドラの魂と波長の合う人間を探させ、そいつにアスピックを生むのに適した体に改造させていたのだ」
剣士A「それが、いわゆる『呪いをかけられた』という事か」
魔法使い「さよう。結果、リザードマンはサムソンに倒され、真実の書は奪われてしまった。そこでワシは、王に『姫はまもなく死ぬ。サムソンは間に合いそうもない、ワシなら呪いと解いてみせる』と言って姫を城から連れ出し、アスピックに引き渡した。アスピックは、次の姫の排卵の日に姫の子宮に魂ごと乗り移る予定だった」
剣士A「で、乗り移られた姫はどうなる。アスピックを出産して終わりか?」
魔法使い「まさか。転生したアスピックが普通に出産すると思うか?人間に転生するといっても、それはそれは大量の生命エネルギーを消費する。姫は、アスピックを生んだ後、力尽きて死ぬな」
剣士A「それで、前の勇者は、封印をあきらめてアスピックを倒したのか。自分が呪われる事を承知で」
魔法使い「そういう事じゃ。サムソンと同様、まだ理性が残っているうちに恋人を人間の世界の安全な場所に送り届けた後、自ら魔界の塔に戻りアスピックとなった」
剣士A「すると、このままでは姫さんは・・・」
魔法使い「そうじゃの。依代が変わってからしばらくは転生の秘術は使えんから安全だろうが、時期がくればアスピックに乗り移られて、姫は死ぬ。当然だが、現在の依代であるサムソンも転生の秘術を使う際に生命エネルギーを全て吸い取られて死ぬだろうな」

剣士A「き、貴様、なぜそんな事に協力をしている。貴様は何がしたいんだ」
魔法使い「ワシはのう。魔界の王の育ての親となって、実質魔界を支配するのじゃ。考えてもみたまえ、太古の昔から生きている蛇神の親となるのじゃぞ。転生するといっても子供の頃は普通の人間と変わらん。つまり、いくらでもワシの自由に育てる事もできるのだ。当然、ワシの作りたい世界にもできる。こんなチャンス、放置しておく手はなかろう」
剣士A「・・・狂ってやがる。」
剣士B「もういい、こんな奴放っておこう。どうせこいつにヒュドラを封印する方法なんか聞いたって話す気などないだろうし」
2人はその場を去ろうとすると、魔法使いは言った。
魔法使い「あと、その彫像を修復しようと思っても無駄じゃぞ。もうその彫像は壊れておる。封印する能力も既に失われていて、何の力もないだろう。」

第四章

剣士A・Bは人間の世界の商店に戻ってきた。
剣士A「しばらくはここを拠点にするしかなかろう。俺たちはお尋ね者だし、おいそれと外をウロつくわけにもいかん。寺院の僧侶達が、俺たちの事を城の兵士に言わないと約束してくれたのが不幸中の幸いだが」
剣士B「だが、どうする。話が振り出しに戻ってしまったぞ。それに、王様に設けられた期限もあと5日しかない。こんな2つに割れた彫像なんか、何の約にも立たないってあの魔法使いも言ってたし」
剣士A「しかし、全くの約立たずなら、なぜ魔法使いが血眼になって探していた?」
剣士B「つまり、俺たちだけでもこの像を修復する手段がある、という事か」
剣士A「そういう事だな。そしてあの魔法使いはそれを知っている。だが、前にも言った通り、魔法使いに聞いたって素直に話すはずがないな。俺たちだけでその方法を調べるしかあるまい」




・・・・うーん、どうしましょう。書いてる方もここで手詰まりになってしまった。じゃあ、この話はここでいったん終わりね。

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