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エンディング

一行はついに黒竜を倒しました。と、その時でした。ヴィドが突然4つの精霊の器を奪いました。


エリン「な、いつの間に・・」
ヴィド「待っていたぞこの時を。黒竜は倒れ、金竜はもうこの世にいない。今こそ精霊の魔法を使って俺がこの世の支配者になる時が来たのだ」

ジェダ「オンドゥルルラギッタンデスカー」

ヴィド「はっはっは、貴様の主役も今日限りだ。来週からは『冒険王ヴィド』が始まるのだ!」
・・・・ではなく、

「ふざけるな!」とヴィドに襲いかかったエリン、ピクトを守るためにヴィドと戦おうとしたディアナは、ヴィドの呪えた精霊の魔法によって倒されました。


ジェダは「エリン、お前を死なせやしない」と言いますが、エリンは「そんなあんたが好きだったんだ・・・」と言い残して息を引き取りました。ディアナは涙ぐむピクトに「泣かないの。強い子でしょ。」と言い残して息を引き取りました。

「なぜこんな事をする」というジェダの問いに、ヴィドは答えます。

ヴィド「一度表出した闘争本能は二度と眠る事はない。より強烈なテンションが欲しくなる。俺たちの欲求を満たしてくれるものは金でも名誉でもない。戦争だ。私はその欲求を満たしてあげているのだよ」
ジェダ「偽善者のつもりか!」
・・・ではなく、

ヴィド「もう平和には飽き飽きだ。世界中で争いをおこしてやる。」


ジェダ「お前のような奴がいるから、精霊は人間を見捨てたんだぞ!」
ヴィド「そんな事、俺の知ったことか」
ジェダ「ヴィド、お前だけは許さない」


と、その時、トロンが飛び出してきて、
トロン「精霊の器とは、これの事かな?」
ヴィド「な、貴様、いつの間に」
トロン「俺を誰だと思っているんだ?天下の大泥棒トロン・ティア様だぞ」
・・・ではなく、

トロン「今だジェダ、解放の魔法を使うんだ!」


ヴィド「や、やめろ、そんな事をしたら、二度と魔法が使えなくなるぞ。二度と自然を操る事ができなくなるんだぞ。」
トロン「やるんだ、ジェダ」
ジェダ「トロン、すまない・・・」

ジェダは解放の魔法を呪えました。
ヴィド「や、やめろおおおおお・・・・・」


そして辺りは光に包まれ・・・

最後に生き残ったのはジェダとピクトだけでした。


ジェダ「金竜は我が身を捨ててまで人間を裁こうとした。だけど金竜は知っていたんだ。俺たちがここまで来る事を。そして大地を救う事を。考えてみれば、金竜が本気で怒っていたなら、俺達に精霊の魔法なんか授けてくれるはずがなかったんだ。全ては金竜が仕組んだ事だったんだ。」



ピクト「金竜は私達にこの大地を託したのですね。」
ジェダ「そうだな。これから頑張らないとな。死んでいった仲間達のためにも・・・」

めでたしめでたし・・・・


・・・って、全然めでたくねーよ!

そもそも、大地なんか救ってねーし、ヴィドのせいでせっかくの自然を操る魔法はまた使えなくなっちゃったし、どう考えても、最後のシーンがその前のヴィドの裏切りのシーンと全然繋がりません。そもそもトロンが押さえつけてる間に殴って精霊の器を没収すれば済む話だったのではないかと。

プレイしてみて

①シナリオについて
「ドラマチックRPG」という触れ込みでしたが、話の展開が早すぎます。おまけに、ストーリーとしてみればあまりに短い。トロンを仲間にしてからパーティが全員揃うまでの話が急展開すぎます。絵本かなんかで数ページで終わらせた方が良いんじゃないかという話です。

エリンがパーティーに加わるまでの話がもうちょっと必要だったのではないでしょうか?いくらなんでも、酔って寝ている所をお持ち帰りしただけで仲間に加わってしまうとか不自然すぎます。もうちょっとエリンを説得してパーティに加えるセリフがあっても良かったと思います。

また、王様が良い人過ぎます。ジェダと初対面でいきなり騎士の息子だからって、そなたを騎士として任命するとか、いくらなんでもそれは早すぎるんじゃないでしょうか?もっと、最初は王様もジェダ達をあまり信用しておらず、嫌悪感すら抱いていたのが、1つ1つクエストをクリアすぐ毎に徐々に信頼を得て、最後に目的を達成した後に「そなたをこの国の騎士として任命する」って事にした方が良かったと思います。

②ゲームシステムについて
いくらなんでも乱数に頼りすぎです。同じ罠でも、「罠があります。外しますか?」と聞いてくる場合と、問答無用でひっかかる場合があり、さらにひっかかるにしても全員ノーダメージの場合、全員が毒に侵される場合、誰かが即死する場合があり、どこでもセーブで検証してみた結果、罠の種類は場所ごとに異なるようですが、事前に罠に気づくかどうかと罠から受けるダメージは完全に乱数のようでした。

罠で大ダメージを受けた後、直前のセーブデーターでやり直したらひっかかる前に罠に気がついてノーダメージだった、なんて事もザラにありました。

戦闘にしても、乱数に頼りすぎます。同じ敵を相手にする場合でも、1回の戦闘で4~5人が麻痺したり毒に侵されたりする場合もあれば、直前のデーターをロードしてやり直したら敵はたいしたダメージも与えず余裕で倒せてしまう事もありました。敵から受けるダメージも、バッドステータスになるかどうかも完全に乱数のようです。

どんなゲームでも多少なりとも乱数は使っているのでしょうけど、普通はキャラのレベルを上げ、防御力を上げ、最大HPを増やすなどして、多少の乱数の出目が悪くても死なないようしてから攻略を進めるわけですが、このゲームでは経験値もレベルもないため、最初から最後まで死ぬか生きるか全て乱数次第になってしまいました。

そもそも経験値やレベルがないのは画期的といえば聞こえは良いのですが、レベルアップや経験値のロジックを作る手間や、攻略するエリア毎の敵の強さと、そこを攻略する頃のプレイヤーキャラの強さを調整する手間を省いただけ、としかいいようがありません。これでは、BASICのショートプログラムで作ったようなRPGといった感じです。

③完成度について
ストーリー上も攻略上も何の意味もないダンジョンがあったり、攻略に必要なダンジョン内にも行く必要のない地域が妙に広かったりして、みすみすプレイする人の時間を無駄にさせるのはいただけません。本当はなにかイベントが用意されていたのがボツになったのかもしれません。

場所によってメニューの「ステータス」が「STATUS」だったりと、表記のゆれも気になりました。また、キャンセルが効かないコマンドがいくつかあり、その代表的なのが「隊列変更」で、一度選んでしまうともう隊列を選択するまでそのコマンドから抜けられません。また、6人パーティですから5人目まで選べば6人目は一番最後に決まっているのに、なぜか6人目も選択させるのもいただけません。

また、エンディングの最後のジェダのセリフがなぜか「ン」だけカタカナだったり、セリフの「。」の直前で改行してしまったり、精霊ウンデーネのセリフで「。」が枠からはみ出て枠を消してたり、氷河の洞窟にバグとしか思えない謎のワープゾーンがあったりと、色々デバッグ不足な気がします。全体的に作りが雑で、ゲームバランスの調整も全然できてない感じでした。

④エンディングについて
なんでこんな鬱エンドにしてしまったのかさっぱり理解できません。FM版ではたしか、金竜は死んでおらず黒竜を倒した後は金竜と4人の精霊たちが「よくぞ試練を乗り越えた」と褒めてくれた後、ゼルド砂漠やコリアンドル氷河が緑豊かな大地へと変化してめでたしめでたし・・・という話だったし、そのラストで十分ではないでしょうか?一体何があってこんな鬱エンドに改変したのでしょう?

オープニングで「人々の心はすさんでいった」とありますが、一番すさんでいたのはMSX版を作ったこのゲームの開発者だったのかもしれません。

「金竜は俺たちがここまで辿り着いて大地を救う事がわかっていたんだ。全ては金竜がしくんだ事だったんだ」って、全然大地を作ってないし、ヴィドの裏切りと話が全然繋がりません。黒竜が死に際に最後の抵抗で火山を噴火させて、それを金竜が火口に飛び込んで止めたとか、黒竜が死に際に大地に呪いをかけて全ての植物を枯らそうとして、それを金竜が呪いを一人で受け止めて消滅したとか、そういうラストなら繋がると思うんですけど。制作段階でシナリオが二転三転したって感じがしてならないです。

MSX版はFM版と比較すると、口パク目パチがあったり、全体的に動作が軽かったり、セリフが追加されてたりと、完成度は上がっていただけに、このラストの改変(改悪?)は残念でなりません。

⑤良かった点
このゲームの良かった点は、ずばり「音楽」です。酒場やロリガンの沼の曲などはいつまでも聞いていたい感じがします。ハイドライドやハイドライド2をプレイしていて、BGMの一周の短さにはウンザリしていたのですが、このゲームでは町のシーンのような通常プレイしていたら長く聴かないBGMでも、長く聞いていると実は一周が意外と長かったりするのも良いと思います。

また、同じ8ビット機の中でもPC-8801mk2SRやFM-77AVと比べると格段に性能の落ちるMSXですが、FM音源対応な上に音質がとても良かったと思います。また、動作速度もMSXとは思えないぐらい高速だったのも良いです。また、酒場から出る時にEnterキーを押せばいつでも出られる等、FM版で使いにくかった所がMSX版では改善されているのも良いと思います。

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