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大戦略III’90

大戦略III’90



大戦略シリーズは、まず1985年に現代大戦略という戦略シミュレーションゲームが発売されました。これは、ターン制で最大4ヶ国がそれぞれ自軍のターンの時に行動していくシステムでした。これがPC-9801ユーザーの間で高い評価を受け、その後大戦略8ビット版(88、FM、X1)に移植され、ここでも高い評価を受けました。

その後、海(というか船ね)のユニットが加わった大戦略II、船はないが戦闘時の効果音がFM音源を使ったリアルな音(一部機種除く)になり、グラフィックスも美しくなったスーパー大戦略が作られ、いずれも高い評価を受けました。

そして1989年に大戦略IIIが発売されました。大戦略IIIは、これまでの大戦略シリーズとは違い、敵味方の同時進行を実現した初めてのバージョンでした。 しかし、敵の強さはお世辞にも強いとはいえず、また、ゲームの進行速度もあまりにも遅く(当時の機械でやった場合)、ゲームとしてはあまりにお粗末なものでした。

そして、1990年に誕生したのが、この大戦略III’90です。これは、IIIの欠点であった、「遅い」「敵が弱い」という欠点を改良したもので、スピードもまあまあ、敵もけっこう強いという、ゲームバランスも良い仕上がりになっています。

私自身、あまりこのゲームをやりこんでいないため、大した攻略法は書けませんが、その中でもいくつか作戦を考えてみましたので、ここで紹介してみようと思います。ただし、ここで取り上げた戦術も完璧に勝てるというわけではなく、マップよっては通用しない(あるいは、かえって不利になってしまう)場合もあるので、読者の皆様の方でもっといい作戦があれば、そちらを使った方がいいと思います。

大戦略IIIからの変更点

高さの概念の廃止
大戦略IIIでは、高高度(飛行機)、中高度(ヘリコプター)、地上と3種類の「高さ」の概念があり、異なる高さのユニットは同じマス(ヘックス)に混在できたり、 妨害をうけずに素通りできたりしました。

しかし、その概念に当時のPC-9801の処理能力がおいつかなかったようで、III’90では高さの概念がなくなり、高さに関係なく1つのヘックスに4ユニットまで混在できるようになりました。

早期警戒機よりは偵察機

早期警戒機は、現代では日本で導入するかどうかで問題になるぐらい重要な兵器なんですが、このゲームでは使わない方が良いみたいです。なにしろ、一機が非常に高いし、作るのに時間がかかります。その割には武器がないので、攻撃されたら終わりです。おまけに、図体がでかいので、敵に狙われたらいい的です。敵も、目の仇のように真っ先に攻撃してきます。


早期警戒機があると、本来レーダー基地の範囲外の網掛けになっている部分が広範囲に渡って見えるようになるので、敵がどんな兵器を作っているのかわかって便利なんですが、どうやらこれは今のような冷戦状態ならではの兵器であって、実際に戦闘状態に陥ってる時には使えないようです。

偵察機は、早期警戒機ほど視野が広くないのですが、ある程度の反撃ができるのと、スピードも速いので早期警戒機よりは敵の的にならずに済みます。敵の様子を偵察したい時は、このゲームでは偵察機を使ったほうが良さそうです。

7万光年のトラック作戦

トラックは、現代大戦略(やFM)ではまったく役に立ちませんでした。それは、歩兵を別途乗せた後、目的地で降ろさないと占領ができなかったからです。そんな事してる間に敵に攻撃されたら終わりです。おまけに、乗車・降車が荒地ではできないなどの制約が多く、また、敵の都市が遠い場合は輸送ヘリを使ったほうがてっとり早く、トラックはヘリが使えないようなマップでしか役に立ちませんでした。

ところがIII’90からルールが変更され、「最初から兵員が乗っている」事になり、部隊名も「機械化歩兵」にないました。(ドルバックのパワードアーマーみたいなもの?)そして、トラックは1ターン犠牲にして人が降りなくてもトラックのまま占領できるようになりました。そこで考案されたのが、この作戦。これは「7万光年の胞子達」というゲームをもじった作戦で、トラックは歩兵にくらべて比較的移動力があり、占領もできるので、このIII’90で鍵を握る作戦です。

ゲームがはじまったら、とにかくトラックを生産します。予算が続くかぎりトラックを生産します。


トラックは、戦車に比べても移動力があるので、とにかく速攻です。敵が来る前に中立国や他国を速攻で占領します。トラックは武器らしい武器はないので、敵に攻撃されたら手も足も出ませんし、あっという間に全滅してしまいますが、全滅するより早くどんどん生産し続けます。


序盤に敵国より早く中立国を占領する事で、敵国よりも多くの資金や工場を確保できるため、中盤までには圧倒的に戦局は有利になります。この作戦のポイントは、占領目標を「オート」にはせず、手動で初期のうちにできる限りトラックを分散させる事です。敵はトラック部隊を最優先で攻撃してきますが、分散していればどこかが手薄になるので、手薄な地域の都市やら基地やらを占領する事ができます。


戦車にやられても、やられても、後ろから続々とトラックが・・・って、今週のびっくりドッキリメカかよ!

この作戦の欠点
アイランドキャンペーンをよく見てもらうとわかりますが、

ここの、くびれた部分には敵味方が入り乱れて非常に激しい戦場となります。


しかし、ここで兵器がトラックしかないと、敵の攻撃ヘリに手も足も出ません。攻撃ヘリの前では、トラック部隊など一網打尽です。

実際、攻撃ヘリ1編隊の待ち伏せしている場所に、トラック部隊10部隊が全滅させられたのだ・・・逃げろ!!

なので、ゲームスタートと同時に目標をこのくびれの先に設定して、敵が来る前にくびれの部分の先にある地域を速攻で占領しなければ勝ち目はありません。 それに、こんな消極的な戦術プレイしていても面白くも何ともありません。この作戦は、序盤のまだ敵の戦力が整わない時に限定する方が良さそうです。

スカイホークを使う

トラックの天敵が攻撃ヘリです。攻撃ヘリに狙われたらトラック部隊はひとたまりもありません。攻撃ヘリを落とすには戦闘機が一番ですが、しかし、戦闘機は高し、生産するのに時間がかかります。

そこで、攻撃機の中でも最も安いA-4スカイホークを生産します。攻撃機なので対戦闘機戦ではほとんど勝ち目がありません。それどころか、安価なので攻撃機同士でもかなり分が悪いです。


しかし、攻撃ヘリ相手ならわりと高い勝率で勝てます。うまくすれば、トラックの天敵である攻撃ヘリを一掃してくれます。 また、敵は兵員輸送ヘリを多めに出してきますが、これもスカイホークで撃墜しまくりましょう。


ただし、スカイホークは燃料タンクが少なく、補給を積極的にしても平気で落ちます。飛行機が燃料切れ落ちると予算的にけっこう痛いので、補給を積極的にするのはもちろん、手動で頻繁に補給させるようにします。

また、敵が戦闘機を出してきたらスカイホークにはまず勝ち目が無いので、敵が戦闘機を作れるぐらい戦力を整える前に首都を落としましょう。基本的に、このゲームは高い兵器を作るより、安い兵器を量産して数で勝負するバララント戦法の方が有利なようです。

イロコイ片道燃料作戦

イロコイもトラックと同様、最初から兵員が乗っている輸送ヘリで、兵員をおろさなくとも占領ができる便利なユニットなので、III’90では積極的に利用します。また、輸送ヘリは、攻撃ヘリに対してある程度耐えられます。(反撃はできませんが)

そこで、イロコイを片道分の燃料だけで飛行させ、補給を「しない」にします。そして、敵や中立の空港やレーダー基地を占領させます。当然、占領できなければ落ちてしまいますが、まだ敵が戦力を整える前なら比較的安全に占領できるので、高い確率で成功します。

なにしろ、COMは「占領できる事をみこして、補給しないで占領を続ける」という事をしませんので、その分こちらが早く占領ができます。もちろん、占領に成功したら手動で補給を指示します。

獅子はウサギを倒すにも全力を尽くす作戦

このゲームのアルゴリズムの最大の欠点は、「たとえ、一機しかいない敵に対しても、ミサイルを全弾発射してしまう」という事です。つまり、戦闘はフルオートなので、敵の数に相応した分だけミサイルを打つというアルゴリズムにはなってないという事です。

スカイホークは弱く、戦闘機相手にはまず勝てません。そこで、スカイホークが敵の戦闘機や地対空ミサイルに囲まれてしまった場合は、部隊分離コマンドで、1小隊だけしかないたくさんの編隊に分裂します。


すると、敵が攻撃したときに、1小隊の見方機に敵がミサイルを全弾撃ち尽くすので、その1小隊はミンチ状態になるかわりに、敵はミサイル代を無駄にし、ミサイルが次に発射できるまでの間にスキを作る事になります。その間に分裂した他の小隊で1回ずつ1対多の攻撃を行います。もちろん、本当の戦争でそんな事をしたら大変な人権侵害ですが。

遊んでみて

いや、面白いですわ。大戦略シリーズいくつか遊んでみましたが、個人的にはこのIII’90が最高でした。ターン制ではなく敵味方同時攻撃のバージョンは評判が悪くバリエーションも少ないのですが、個人的には同時攻撃の方が好きです。IIIやIII’90は大戦略シリーズの中でも敵が弱いそうですが、それが私にはかえってちょうど良かったみたいです。

大戦略シリーズ全体にいえることですが、単一の兵器ばかりでは勝てず、地上攻撃兵器は攻撃に弱く、攻撃ヘリは飛行機に弱く、飛行機は対空ミサイルに弱く、対空ミサイルは地上攻撃兵器に弱いという、カモと苦手の関係がうまくできていて、これが絶妙のゲームバランスを生んでいるのだと思います。

このゲームが発売された1990年当時に私が使っていたPC-286では、現在エミュレーターで動かすような高速には進行せず、ゆっくり、ゆっくりと進行したのですが、ターン制ではないのでゲームがなかなかやめられず、何日も徹夜寸前の状態で(ほとんど寝ずに)職場に向かったなんて事も何度もありました。

今ではエミュレーターで動作させる事で、ゲームの進行が非常に高速で、当時このゲームの欠点だったプレイ時間が長くやめられなくなるという点は解消されています。お時間のある方は是非エミュレーターでプレイしてみてください。
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