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規格とは

家電製品の規格

Aさんは、愛用の掃除機のパイプを割ってしまいました。そこで、昔使っていて壊れてしまった掃除機から、パイプだけ取り出して付けようと思いました。ところが、掃除機の口とパイプの太さが合わなくて、付けることができませんでした。 今度は、掃除機の紙パックがなくなったので買ってきました。ところがメーカーが違うために、紙パックの口が掃除機に合いませんでした。

これらは、規格が違うために起こった現象だと言えます。




この原稿を書いてる時点(2004年)では、掃除機の紙パックに特にこれといった統一規格はありません。「全社共通紙パック」というものはありますが、これはジョイントの部分のボール紙を各社用に合わせて切り取る事ができるようになっているだけで、べつに統一規格があるわけではないのです。

今度は、Aさんは東芝の懐中電灯の乾電池が切れてしまいました。そこで、電気屋さんに行ったのですが、東芝の乾電池は売っておらずパナソニックの乾電池しか売っていませんでした。しかし、パナソニックの単1電池を買ってきて東芝の懐中電灯に入れたところ、まったく問題なく動きました。 これは単1電池という規格が統一されているために、メーカーを気にせず電池を購入する事ができたわけです。

今度は、Aさんは部屋の蛍光灯が切れました。なので、直管32型の蛍光灯を買おうと思ったのですが、今まで使っていたのはNECで、お店には東芝しかありません。しかし、東芝の蛍光灯でも問題なく使えました。それは、蛍光灯のFHF32EXNHという規格が一致したためです。

このように、ある機器とある機器を接続するための取り決めを規格とよびます。

共通の規格がないとどうなるか

昔、Oh!Dynaにこんな記事がありました。お客さんからの問い合わせで、「手元にPC-9801用の5インチディスク・ドライブがあるんやが、これJ-3100につきまへんか?こんなのゴロゴロ買えまへんからな。」というものでした。この場合、99.9%つきませんが、型番がわからないと100%つかないと言いきれないので「型番がわからないので答えられません」と答えたそうです。

では、なぜ99.9%つかないのでしょう?それは、フロッピーディスク・ドライブのインターフェイスには特にこれといった統一規格がなかったからです。残り0.1%の可能性は、その5インチドライブが、PC-9801にもJ-3100にもつけられるように作ってある可能性ですが、私の記憶が確かなら、そのような製品はなかったと思われます。

これは、FM-7用の外付けフロッピードライブ(TF-10)です.


これはあくまでFM-7(またはFM-new7)用であって、決してPC-8001についたりはしません。


FM-77や、77AVにはインターフェイスカードを一部改造する事でつける事はできましたが、いずれの場合も共通規格があるわけではないので、基本的には指定された機種専用です。強引につけるにしても、メーカー保証対象外の改造をしなければなりません。

同様に、これはPC-9801用の2HD専用(2DD不可)の5インチフロッピードライブですが、


インターフェイスは、PC-9801背面にある「1MB FDD」ポートです。このポートは別に他のメーカーのパソコンと互換性があるわけではない独自規格のため、J-3100等の他機種には接続できないわけです。


東芝J-3100用の5インチドライブは残念ながら捨ててしまったので画像はないんですけど、D-Sub25ピンのプリンターポートと同じ形状のもので、トグルスイッチでプリンターか5インチFDDかを切り替えるというものでした。当然、独自規格であり、PC-9801と互換性は一切ありません。したがって、特にPC-9801とJ-3100の両方つながるように作ってない限り、PC-9801とJ-3100の間で外付けフロッピー装置に互換性はないわけです。

現在、PC/AT互換機用の内蔵3.5インチドライブは、特にメーカーを気にせず接続する事ができますが、


これは別に内蔵3.5インチドライブのインターフェイスに統一規格があるわけではなく、サードパーティのメーカーがPC/AT互換機に合わせて作っているためです。つまり、PC/AT互換機の独自規格が、実質共通規格みたいになってしまったわけですね。

このように、規格というものは、複数のメーカーが話し合って統一規格を取り決めたものもあれば、一番流行っている機種のもが事実上の統一規格になったものもあります。 例えば、カセットコンロのボンベは現在は岩谷産業のものにほぼ統一されていますが、以前は各メーカーごとにバラバラでした。 しかし、東日本大震災の時に、カセットコンロとボンベで合わない組合せが多数発生し、非常に困ったそうです。そこで、 国からの働きかけで <要出典> 東日本大震災以降、岩谷産業以外のメーカーも岩谷産業のボンベが使えるように合わせるようになりました。

これは、デジカメです。


そして、これがこれらのデジカメのバッテリー(一部)です。


そして、これがこれらのデジカメのバッテリーの充電器(一部)です。


したがって、デジカメというものは(2017年現在)、デジカメの数だけバッテリーと充電器がある状況です。デジカメを変えば買う程バッテリーと充電器が増えます。これは、デジカメのバッテリーには特にコレといった統一規格がないからです。一昔前なら、単3電池や単4電池が使えるものもありましたが、現在ではほぼ専用のバッテリー、充電器が必要です。

メーカーさんの言い分では、デジカメというのは用途ごとに必要とされる容量が異なる上に、デジカメの大きさによって必要な電圧も異なるため、そう簡単には統一できないんだそうです。専用バッテリーをバカ高くして儲けようとしているという噂もありますが、アマゾンを検索すれば中国製の怪しげな互換バッテリーがいくつも出回っており、メーカーさんもさほどバッテリーで儲ける事はできてないように思えます。

共通の規格がある場合どうなるか

PC-9801、X68000、FM TOWNSがシェアを争っていた頃、外付けフロッピー装置には互換性はまずありませんでしたが、フロッピーに記録されたファイルはある程度の互換性がありました。そこで、他機種間のデーターの受け渡しにフロッピーディスクが使われる事もありましたが、容量の関係で大きなファイルの受け渡しには向きませんでした。また、FM TOWNSは3.5インチでしたが、PC-9801やX68000は5インチが主流だったため、その事がフロッピーでのデーターの受け渡しの障害となっていました。

しかし、外付けハードディスクや外付けMO装置にはある程度の互換性がありました。当時はLANというものがまだ一般的ではなかったため、外付けハードディスクを介して、PC-9801、X68000、FM TOWNS間でデーターの受け渡しを行う事もありました。これは、外付けハードディスクやMO装置にSCSIというインターフェイスの規格が採用されたためです。実際、私は過去にJ-3100PVにISAバスのSCSIカードをつけて、PC-9801用のSCSIのハードディスクを接続して使っていました。

内蔵CD-ROMドライブも、PC-9801FA/FS/FX〜PC-9821As/Aeシリーズではファイルスロットという独自規格のものが採用されていましたが、PC-9821Xa/Xs/Xeシリーズからは5インチベイにATAPIのCD-ROMがつけられるようになりました。ATAPI対応になったため、PC/AT互換機用であってもPC-9821シリーズに取り付けが可能になりました。





現在では、外付け装置に対してUSBやeSATAという規格があり、特にUSBに関してはMacintoshや一部のゲーム機等、PC/AT互換機以外にも広く採用されたため、外付け装置とのインターフェイスとして一般的になっています。

外付けフロッピーディスク装置も、現在はUSBという規格が一般的になったため、その機種専用という事はなくなりました・・・が、


残念ながら現在は、PC-9801シリーズもJ-3100シリーズもFM TOWNSシリーズもUSB機器が一般的になった現在ではとっくに生産中止。せっかくUSB対応になってもPC/AT互換機ぐらいしか使い道がないという悲しい状況ではあります。また、USB対応の5インチフロッピー装置なるものは(私が調べた限りでは)ありません。

なぜパソコンが個人で組み立てができるようになったか

昔は、PC-9801にしろJ-3100にしろ、内部のパーツはほぼ「専用」でした。

J-3100GTに内蔵されたハードディスクはSASIに近いものの専用のインターフェイスであり、J-3100GT専用のハードディスクを買う必要がありました。J-3100PVの内蔵ハードディスクはIDE規格でしたが、コネクタは専用であり、汎用的なハードディスクは取り付けられませんでした。(私は強引に取り付けようとしてミスってピンを曲げてしまいました。)J-3100GTのC-MOSの内蔵バッテリーは専用パーツであり、交換は個人レベルでは不可で、保守会社に修理という形で依頼しなければならず、また、保守会社は独立採算制をうたっていたため修理代が数万円にものぼりました。

PC-9801FA/FS/FXシリーズのハードディスクはファイルスロット用のSCSI規格のものでしたが、コネクタは専用のコネクタであり、汎用的なハードディスクをそのままつける事はできませんでした。同様に、PC-9801FA/FS/FXシリーズのファイルスロット用のCD-ROMドライブもインターフェイスそのものはSCSIでしたが、コネクタは専用であり、PC/AT互換機用のATAPIのCD-ROMドライブを接続する事はできませんでした。

パーツは専用にした方が生産コストは安くなるし、パーツも高く売れてメーカーにとっては都合の良い事だらけです。パーツのインターフェイスを共通企画にして他メーカーの他機種用のパーツが使える事にするのには、その分PC本体の生産コストが高くなり、また、専用のパーツが売れなくなってしまうからです。たとえば、NECの外付けハードディスクはNEC製のものしかつけられないのであればバカ高くても売れるわけですが、他機種用の他のメーカーのものが共通して使えるのであれば、なにもわざわざバカ高いNEC製のものを買う必要がなくなってしまいます。

ところが、DOS/VやWindows3.1といった、キーボード以外の追加ハードなしに海外で生産されたPC/AT互換機でも日本語が扱えるOSが誕生してから、状況が一変しました。それは、PC/AT互換機は世界中で生産されており、また発展途上国の人件費の安い所で組み立てられたパーツが多く、生産コストが国産機と桁違いに安くできました。また、世界中のメーカーがPC/AT互換機の規格に合わせてパーツを作るようになったため、PC/AT互換機の規格で作られたパーツの生産性が高くなり、値段が安くなりました。こうして、PC/AT互換機に採用された規格が一般的となり、PC/AT互換機の規格で作られたパーツを組み合わせれば個人レベルでもパソコンが組み立てられるようになったわけです。

これはパソコンユーザーにとってはとても都合の良い事ではありますが、国内パソコンメーカーにとってはとても都合の悪い状況でした。PC/AT互換機が主流になった直後はFM/VやVAIO、dynabookといった国内メーカーも頑張っていたのですが、やはり海外メーカーとはコスト面で勝つことができず、国内メーカーは次々とパソコンから撤退していく事になりました。

 規格には名前がついている

たとえば、乾電池には単1、単2、単3、単4等の規格があり、これらの規格が合ってさえいればメーカーは気にしないですみます。 この例でいくと『単なんとか』という風に名前がついていて、電気機器に『単1電池を使ってください』と書いてあれば、すぐにわかるようになってます。

ビデオテープにも、VHS、VHS−C、β、8、Hi8、という風に、規格に名前がついています。フロッピーにしても、2D、2DD、2HD、2TD、2ED、という風に規格に名前がついています。 このように、統一規格には、その規格を示す名前がついているわけです。

それにより、『このハードディスクはUSB2.0対応です』という風に書いておけば、さほどメーカーを気にせずにUSB2.0規格のPCなら接続できる、という風に安心して周辺機器を購入できるようになります。

ただし、先の例のように、PC/AT互換機の内蔵用フロッピーインターフェイスや、岩谷産業のカセットボンベのような一番流行っているものに他のメーカーが合わせたというような場合、特にコレといった名前がない場合もあります。

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